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NAGASAKI Kusunoki project

 

12浦上第一病院タイサンボク

【樹木データ】

  • 樹種

    タイサンボク

  • 高さ

    約16m

  • 幹回り

    胸高約1.5m

  • 所有者

    聖フランシスコ病院

  • 見学

    可能

 

  長崎市小峰町にある聖フランシスコ病院(被爆当時は浦上第一病院と呼ばれていた)にある被爆樹木がタイサンボクです。浦上第一病院は、赤レンガと鉄筋コンクリートを用いた3階建の建物でした。モダンな建物であった浦上第一病院は、元々、長崎公教神学校というカトリックの神学校から、聖フランスシコ神学校を経て、戦時中に軍に強制的に建物を接収されることを免れようと、結核療養所"浦上第一病院"となったものです。

  原爆被爆時は、爆心地から1.4kmの位置にあったため、浦上第一病院の建物は爆風によって内部は一瞬にして破壊され、その後発火して医療器材も大方の薬品も焼失し、外部だけがそのまま残りました。小高い丘の上にある浦上第一病院の眼下には、一面が焼け野原になった浦上地区が見渡せました。この病院は焼け野原になった浦上地区のただ中で唯一の医療機関となったため、多くの被爆者がここで治療を受け、あるいは亡くなっていきました。

  ここの医師であった秋月辰一郎さんは、著書「死の同心円」のなかで、「毎日、毎日『死の同心円』が広がっていく。」と書き、浦上第一病院で亡くなっていく人たちを看取りながら、爆心地周辺の人々から徐々に同心円状に亡くなる人たちが増えていき、その同心円が自分たちの病院に近づいてくる死の恐怖をつづりました。

  このタイサンボクは、爆心地側の幹の中央が線状に焦げる傷あとを残し、原爆の爪あとを私たちに見せているだけでなく、被爆前から現在に至るまでのこの場所で起こった歴史を物語る生き証人としても、昔と同じ場所に静かに立っています。

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